居心地よい庭のデザインの背後にあるもの

千里の道も一歩から。

一つひとつパズルのように石が並べられた
職人さんの手仕事。
その道を通る人の足元が濡れないように、
雨水が石の間を通って両脇にぬけるように
並べられている。
石と石はつなぎでかためておらず、ただ置かれているという。
大変手間と根気の要る職人さんのお仕事であったろうと
思います。
一つひとつ、根気よく
丹念に積み重ねられた手仕事は、
振り返れば、とても美しい、
しかし誇張しすぎず、華美でなく、
ともすると気が付かないほど、
とても歩きやすい道になっていた。

本当のデザインとはこういうことを
いうのだ、と教えられます。
大変な手間と考察が背後に
あるけれども、
居心地の良いデザインとは、
それを感じさせないほど
トータルで心地よい。

人生も仕事も丹念に積み重ねて、
振り返れば美しい、あとを通る人が歩きやすい、
そんな積み重ねでありたいと
この桂離宮の「あられこぼし」を見て
思いました。
ひたすら手を動かし
黙々と石を並べていった
いにしえの職人さんたちの息遣いが
感じられるようでした。

丹精込めて一つひとつを積み上げて、
振りかえれば華美でなくとも美しい一本の道となっている、
そんなデザイン、歩みをしたいと
教えられました。